Art Esparza ~サックスフォニストとなったマスタービルダー 後編

前編はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/art-esparza-1/

1994年にマスタービルダーへと昇格したアート・エスパーザ。

カスタムショップ総責任者のジョン・ペイジは彼のことを”オールラウンダー”と評しており、その名の通り様々なギターを制作しました。

U2、エリック・クラプトン、バディ・ガイ、ジョン・メイヤー、アーニー・アイズレー、サミー・ヘイガー、ケニー・“ベイビーフェイス”・エドモンズなど、数々の一流アーティストのためにギターを設計&製作します。

なかでも有名なのが、アーニー・アイズレーの愛機”The Zeal Stratocaster”。

アーニー・アイズレーの妻であるトレイシーが1枚の紙に描いた12本の薔薇の絵をモチーフにアートがデザインした1本で、彼女からのアーニーの誕生日プレゼントとして製作されました。

アーニーが自ら”Zeal”という名前を名付けたそうです。

これがZeal #1となり、アートは数年間の間に合計3本製作しました。

他にもバディガイのための水玉模様のポルカドットストラト、ティーナ・マリー(Teena Marie)のショーマスター、サミー・ヘイガー(Sammy Hagar)のRMCのピエゾブリッジを搭載した赤いストラトなど、アーティストのアイコンとなるギターを多数製作しました。

またジョン・クルーズ、デニス・ガルズカ、ジェイソン・スミスなど、後にマスタービルダーとなるスタッフの指導にも努めたそうです。

2004年に体調を崩し、2006年1月にはフェンダーを退社します。

その後、アートは自身の名義でカスタムギターを作成する一方、LAにあるアルミボディで知られるJames Trussartのコンサルタントとしてギターの設計と製作や修理も行いました。

元々サックスフォン奏者でもあった彼は、この頃から大きなカジノやライブ会場でも定期的に演奏を行っていたそうです。

2012年には、Premier Builders Guild (PBG)に加わります。

PBGとは
ブティックギターやアンプの小規模メーカーの製品の製造とマーケティングを相互支援するために作られた
組織で、Fano、b3、Schroeder Guitars、Giffin、Two Rockなど様々なブランドが参加していました。

元マスタービルダーの同僚であるジーン・ベイカーも参加していた組織で、D’angelicoの復刻版の製作を担当することになりました。

そのPremier Builders Guild (PBG)は2016年には終了します。

その後、特定のギターメイカー等には属することは無く(ギター製作をしているかは定かではありません)、プロフェッショナルなサックス奏者として、様々なバンドともに演奏活動をしています。

ギタービルダーからプロのサックス奏者への転身を見事にを遂げた稀有な来歴の持ち主となったアート・エスパーザでした。

~終わり~

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