2018年9月21日 / 最終更新日 : 2018年9月21日 toshiakikasuya REGULAR 122『石神井公園』空と雲 / 四人囃子&スモーキー・メディスン 季節が変わろうとしている。 ザワザワとした公園の木々から 神社の参道に吹き下ろす風も、 なんだか冷たく感じられるのだ。 その木漏れ日の中を 子供たちが駆け抜けて行く風景。 姿が見えなくなっても、 はしゃぎ声の残響が 辺りに吹き溜まっているかのようだ。 その夕暮れ時の参道から、 城跡のある木立を 抜け >> Read more
2018年8月30日 / 最終更新日 : 2018年8月30日 toshiakikasuya REGULAR 121『夏休みのお終わり』 夏の朝は蝉の声で目を覚ます。 みんみんと裏の神社から、 うるさいくらいに聞こえてくるのだ。 そこに夏風が揺らす 木々の葉音が重なって いいかげん、寝てはいられなくなるのである。 「あっついな…」 と思ったら、 もう、昼近かった。 水を飲み、顔を洗うと、 洗面所にある洗濯機が目についたので、 そこらに >> Read more
2018年8月14日 / 最終更新日 : 2018年8月14日 toshiakikasuya REGULAR 120『ロックな誕生日/69』 8月10日は冨士夫の誕生日だった。 あの突然のアクシデントがなければ、 69歳になる記念すべき年である。 あれだけロックに生きたんだから、 ガツ〜ンっと『69ロック』と、 イきたいところだっただろう。 そう想うと、実に残念だ。 冨士夫と出会った初めての夏、 「今日はオイラの誕生日なんだ」 と聞いて由 >> Read more
2018年8月8日 / 最終更新日 : 2018年8月8日 toshiakikasuya REGULAR 119『酒の話/北鎌倉の家』 酒の飲み方にもいろいろとある。 元来、僕は下戸だった。 コップにビール半分で頭痛がした。 一杯飲むと必ず死んだように 寝てしまうのだった。 それが、仕事の付き合いで 水で割ったウィスキーなら、 多少は飲めることに気がついた。 それが、ちょうど我が家に 冨士夫が転がり込んできたころ、 一緒に近くの由比 >> Read more
2018年7月22日 / 最終更新日 : 2018年7月22日 toshiakikasuya REGULAR 118『暑い夏』FUJIO & CHIKOHIGE LIVE 1989 あつい、とにかく暑いのだ。 暑いのが大好きで、 “生き先”は南の島になるんだよ、 と独り言を言う癖があるのだが、 コレほど暑いと、それもどうかな? っと想ってしまう。 この暑さは、 初めて行ったマニラみたいだ。 痛いほどの日差しの中で とても長くは歩けない。 または、 クアラルンプールだろうか? あ >> Read more
2018年7月1日 / 最終更新日 : 2018年7月1日 toshiakikasuya REGULAR 116 『ワールドカップ』 冨士夫はキーパーだったという。 杉並区立東原中学時代の話だ。 「1点だって入れさせたことがねぇんだ」 と、ぬる燗とっくり片手に豪語していた。 その言葉に何かを挟むつもりは みじんもないのだが、 サッカー部だったってことは なんだか疑わしい。 「あれっ? 野球でかっ飛ばしてばかりいて、校舎の窓ガラスを >> Read more
2018年6月20日 / 最終更新日 : 2018年6月20日 toshiakikasuya REGULAR 115 西麻布Bar『アムリタ』 デザイン会社で働いている頃は、 残業が当たり前だった。 北鎌倉に住んでいたので 23時を過ぎるとソワソワとする。 電車がなくなるのだ。 北鎌倉まではタクシー代も 半端じゃないので その選択肢はまずありえない。 思わず家族の姿を想い浮かべてみる。 嫁さんと2歳になる可愛い娘が、 台所で戯れている風景が >> Read more
2018年5月1日 / 最終更新日 : 2018年5月1日 toshiakikasuya REGULAR 112『村八分/くたびれて』 渋谷区本町2丁目。 渋谷区とはいっても、 ほとんどが中野区か新宿区に 入り込んだようなエリアに TEARDROPSの事務所はあった。 先日、たまたまなのだが、 30年振りに僕は このエリアに行く機会を得た。 懐かしさもあって、 のんびりと散策しているうちに、 かつてのさまざまな 情景がよみがえってく >> Read more
2018年4月12日 / 最終更新日 : 2018年4月12日 toshiakikasuya REGULAR 111『3年目の春』TEARDROPSうまダマ やっと、春らしくなってきた。 この時季になると僕は、 冨士夫ん家の庭を想い浮かべたりする。 風が行き交う日だまりの庭は、 想像するよりもずっとあったかいのだ。 庭先にある梅の木を眺めながら 競って伸びる草花の香りを嗅ぐ。 庭の南に面した縁側の前には 季節ごとの植物が植えられていていた。 それを愛でる >> Read more
2018年3月11日 / 最終更新日 : 2018年3月11日 toshiakikasuya REGULAR 109『先輩の幾何学模様』 やっと、少し暖かくなってきた。 毎日のように春になっていくのがわかる。 高校生の頃はソレを 近所に咲く椿の花で確かめていた。 ボト!って、落ちるのである。 実際に落ちる瞬間は見た事がないのだが、 気がつくと、道端に赤が固まっている。 ソレを見るのが愉しみだった。 ボト!って、 音が見える気がしたから >> Read more
2018年2月15日 / 最終更新日 : 2018年2月15日 toshiakikasuya REGULAR 107『リセット/春』 1991年の初春、 初台にあった事務所をたたみ、 仕事場を自宅に移した。 練馬の農村住宅地である。 住民よりもキャベツのほうが目立っている。 コンビニよりも駄菓子屋のほうが、 存在感がある地域である。 それでも生まれ育った愛着がある。 僕は何年振りかで大きくのびをした。 「いやぁ、すっきりだべ〜」 >> Read more
2018年2月5日 / 最終更新日 : 2018年2月5日 toshiakikasuya REGULAR 106『マジカル・ミステリー・ツアー /ドロップアウト』 あっという間の2月。 この時間の流れの速さに、 すんごい驚いたのは僕だけだろうか。 コンビニのパーキングに車を停め、 皆既月食のうすら赤い光を眺める。 “あのときも、まん丸な月だったな” そのあわい月の光に なんだか懐かしい感情を想い起こしていた。 あれは、1991年の早春だったと想う。 清里のオー >> Read more
2018年1月20日 / 最終更新日 : 2018年1月20日 toshiakikasuya REGULAR 105『天風会館』”People at Tenpu Hall 1990″ / “天風会館にいた人たち 1990″aquilha mochiduki 「天風会館で演りませんか?」 そう、誰かに言われたのだろうか? それとも、いつも意外性のある 会場を探していたから、 天から風に乗って 情報が降ってきたのかも知れない。 「おいおい、馬鹿言っちゃイケないよ。ソコは俺らが教えてやったんじゃないか」 という輩が、きっといるのだろう。 確かに誰かが教えてく >> Read more
2018年1月8日 / 最終更新日 : 2018年1月8日 toshiakikasuya REGULAR 104『新年のご挨拶』 1991年の幕が上がった。 さっそく、新年の挨拶代わりの電話を 関係各方面にしようと思って 戸惑ったのを憶えている。 局番のアタマに3が付いたのだ。 東京23区だけなのだが、 今までの3ケタが4ケタになったのである。 「なんか面倒くせぇなぁ」 たったひとつの数字なのだが、 なかなか慣れなかった。 こ >> Read more
2017年12月23日 / 最終更新日 : 2017年12月23日 toshiakikasuya REGULAR 103『吉田くん/ザ・ダイナマイツ』Walking The Dog – The Dynamites 1968 10年ほど前になるだろうか? 冨士夫のライヴのために 器材を借りようとしているところに、 覚えのない人物から電話があった。 「もしもし、冨士夫がライヴやるんだって?」 「えっ!? はい、そうです」 って、答えるしかなかった。 知らない声だったからだ。 この前置きがまったくない 謎の声の持ち主は、 「 >> Read more
2017年12月13日 / 最終更新日 : 2017年12月13日 toshiakikasuya REGULAR 102『青ちゃんの命日/キース・リチャーズの誕生日』 12月18日はキース・リチャーズの誕生日。 こんな日に逝く青ちゃんは、 最後までカッコつけだった。 宵越しの金どころか そんじょそこらの呑み屋に 立ち寄る金も持たない。 しかし、気がつくと、 いつの間にか酔っぱらっているのだ。 「世も世なら、青ちゃんは傘張り浪人だな」 冨士夫にそう言わせるくらい、 >> Read more
2017年12月3日 / 最終更新日 : 2017年12月3日 toshiakikasuya REGULAR 101『延原達治/ザ・プライベーツ■その2』The Privates 「 Drive All Night 」 PV MV 「俺たちもレコーディングやってるから来いよ」 このとき、TEARDROPSは 『らくガキ』のレコーディングに入っていた。 そこに、冨士夫に誘われて ブルースハープを持った 延原達治が勇んで現れるのだ。 「俺も若かったからね、 カァー!っていう勢いでさ、 凄い吹き方をしたと思うんだ。 そしたら冨士夫さ >> Read more
2017年11月24日 / 最終更新日 : 2017年11月24日 toshiakikasuya REGULAR 100『延原達治/ザ・プライベーツ■その1』 よもヤバ話も、 今回でめでたく100話目になる。 一昨年の春に始めたのだから、 想いを巡らす月日は2年半を越えた。 ふっと、気がつくと、 アッチ側がやけに騒がしい。 冨士夫、青ちゃん、佐瀬による TEARDROPS の宴の席で、 耕や良のFools族が、 音頭をとっているのだ。 年末になると僕らは >> Read more
2017年11月1日 / 最終更新日 : 2017年11月1日 toshiakikasuya REGULAR 098『THE FOOLS/伊藤耕』MR.FREEDOM ジャガタラのアケミから借りた 真っ赤なギターを抱えて 冨士夫がステージに躍り出た。 真夜中も過ぎ、 明け方近くなった会場は、 にわかにどよめき、 突然に息を吹き返したかのようだ。 ベースのカズ(中嶋一徳)が 冨士夫を振り返って叫ぶ。 「初っぱなはEだから」 冨士夫がうなづくと同時に、 ドラムの佐瀬浩 >> Read more
2017年10月24日 / 最終更新日 : 2017年10月24日 toshiakikasuya REGULAR 097 『シーナ&ザ・ロケッツ/You May Dream』 とっても若い頃、 勤めていた会社が芝浦にあった。 芝浦って、今となっては、 なんだかシャレっぽい地域で、 高層マンションやらなんだかんだと ハイソなイメージさえあるのだけれど、 当時は、ただの倉庫街だったのだ。 田町駅の芝浦口を降りると、 殺風景な中に一本の直線道路が走っていた。 駅前通りって、 普 >> Read more