2018年7月11日 / 最終更新日 : 2018年7月11日 toshiakikasuya REGULAR 117 『京都』高木チカシの “働けもっとたんと” 京都市内を隅々まで散策し、 一冊の観光本を作ったことがある。 ひと月ほど京都の旅館を泊まり歩き、 イラストマップを作成したのだった。 クライアントは鉄道弘済出版。 僕はまだ学生だった。 卒業間際のアルバイトで、 イラストを描きたかった僕には うってつけの仕事だったのだ。 いま、チマタでは 『京都ぎら >> Read more
2018年7月1日 / 最終更新日 : 2018年7月1日 toshiakikasuya REGULAR 116 『ワールドカップ』 冨士夫はキーパーだったという。 杉並区立東原中学時代の話だ。 「1点だって入れさせたことがねぇんだ」 と、ぬる燗とっくり片手に豪語していた。 その言葉に何かを挟むつもりは みじんもないのだが、 サッカー部だったってことは なんだか疑わしい。 「あれっ? 野球でかっ飛ばしてばかりいて、校舎の窓ガラスを >> Read more
2018年6月20日 / 最終更新日 : 2018年6月20日 toshiakikasuya REGULAR 115 西麻布Bar『アムリタ』 デザイン会社で働いている頃は、 残業が当たり前だった。 北鎌倉に住んでいたので 23時を過ぎるとソワソワとする。 電車がなくなるのだ。 北鎌倉まではタクシー代も 半端じゃないので その選択肢はまずありえない。 思わず家族の姿を想い浮かべてみる。 嫁さんと2歳になる可愛い娘が、 台所で戯れている風景が >> Read more
2018年6月3日 / 最終更新日 : 2018年6月3日 toshiakikasuya REGULAR 114『大口広司さんの “カッコイイ“』 どこまで続いているのかわからない、 ながーいトンネルに入っているあの感じ。 景色も何も見えないような 漠然とした不安が続いていく。 すぐにでも出られると想っていたのだ。 今までがそうであったように、 今回もどこかで空気が 切り替わると信じていた気がする。 「よぉっ、ちょっと…」 ドラムセットに座って >> Read more
2018年5月17日 / 最終更新日 : 2018年5月17日 toshiakikasuya REGULAR 113『忌野清志郎(さん)の幻影』【FM大阪】忌野清志郎の夜をぶっ飛ばせ (ゲスト・山口冨士夫) part 1 of 2 東京の西のはて、 西多摩郡の日ノ出町へと行く。 秋川街道を折れ、 平井川の源流を左に眺めながら ドライブすれば、 そこはもう山里である。 東京であることを忘れるほど せまりくる緑を感じながら、 胸いっぱいに自然を吸い込む。 「おかげさまで、気を取り戻したよ」 竹林からの風を感じながら、 冨士夫が大き >> Read more
2018年5月1日 / 最終更新日 : 2018年5月1日 toshiakikasuya REGULAR 112『村八分/くたびれて』 渋谷区本町2丁目。 渋谷区とはいっても、 ほとんどが中野区か新宿区に 入り込んだようなエリアに TEARDROPSの事務所はあった。 先日、たまたまなのだが、 30年振りに僕は このエリアに行く機会を得た。 懐かしさもあって、 のんびりと散策しているうちに、 かつてのさまざまな 情景がよみがえってく >> Read more
2018年4月12日 / 最終更新日 : 2018年4月12日 toshiakikasuya REGULAR 111『3年目の春』TEARDROPSうまダマ やっと、春らしくなってきた。 この時季になると僕は、 冨士夫ん家の庭を想い浮かべたりする。 風が行き交う日だまりの庭は、 想像するよりもずっとあったかいのだ。 庭先にある梅の木を眺めながら 競って伸びる草花の香りを嗅ぐ。 庭の南に面した縁側の前には 季節ごとの植物が植えられていていた。 それを愛でる >> Read more
2018年3月27日 / 最終更新日 : 2018年3月27日 toshiakikasuya REGULAR 110『なが〜いイントロダクション』 外堀通りと六本木通りが交わる 溜池交差点の近くに 東芝EMIの本社があった。 打ち放しのコンクリートに グレーメタリック仕上げの 重厚感ある7階建てのビルである。 「寺尾聡の歌った『ルビーの指環』のヒットで建ったんだぜ」 と、誰かが、 まことしやかに言っていた憶えがある。 “レコード1枚でこんなビル >> Read more
2018年3月11日 / 最終更新日 : 2018年3月11日 toshiakikasuya REGULAR 109『先輩の幾何学模様』 やっと、少し暖かくなってきた。 毎日のように春になっていくのがわかる。 高校生の頃はソレを 近所に咲く椿の花で確かめていた。 ボト!って、落ちるのである。 実際に落ちる瞬間は見た事がないのだが、 気がつくと、道端に赤が固まっている。 ソレを見るのが愉しみだった。 ボト!って、 音が見える気がしたから >> Read more
2018年2月28日 / 最終更新日 : 2018年2月28日 toshiakikasuya REGULAR 108『HELLO,GOODBYE』BEATLES/HELLO,GOODBYE 中学生に成りたての秋、 初めて実際に動く BEATLESの映像を見た。 『HELLO,GOODBYE』のPVである。 思い返してみると、 この年頃は誰だって好奇心に溢れている。 見るもの聞くものすべてが 新鮮なことばかりなのだ。 特に海外の音楽シーンの映像などは、 滅多にお目にかかれないレアな代物だ >> Read more
2018年2月15日 / 最終更新日 : 2018年2月15日 toshiakikasuya REGULAR 107『リセット/春』 1991年の初春、 初台にあった事務所をたたみ、 仕事場を自宅に移した。 練馬の農村住宅地である。 住民よりもキャベツのほうが目立っている。 コンビニよりも駄菓子屋のほうが、 存在感がある地域である。 それでも生まれ育った愛着がある。 僕は何年振りかで大きくのびをした。 「いやぁ、すっきりだべ〜」 >> Read more
2018年1月8日 / 最終更新日 : 2018年1月8日 toshiakikasuya REGULAR 104『新年のご挨拶』 1991年の幕が上がった。 さっそく、新年の挨拶代わりの電話を 関係各方面にしようと思って 戸惑ったのを憶えている。 局番のアタマに3が付いたのだ。 東京23区だけなのだが、 今までの3ケタが4ケタになったのである。 「なんか面倒くせぇなぁ」 たったひとつの数字なのだが、 なかなか慣れなかった。 こ >> Read more
2017年12月23日 / 最終更新日 : 2017年12月23日 toshiakikasuya REGULAR 103『吉田くん/ザ・ダイナマイツ』Walking The Dog – The Dynamites 1968 10年ほど前になるだろうか? 冨士夫のライヴのために 器材を借りようとしているところに、 覚えのない人物から電話があった。 「もしもし、冨士夫がライヴやるんだって?」 「えっ!? はい、そうです」 って、答えるしかなかった。 知らない声だったからだ。 この前置きがまったくない 謎の声の持ち主は、 「 >> Read more
2017年12月3日 / 最終更新日 : 2017年12月3日 toshiakikasuya REGULAR 101『延原達治/ザ・プライベーツ■その2』The Privates 「 Drive All Night 」 PV MV 「俺たちもレコーディングやってるから来いよ」 このとき、TEARDROPSは 『らくガキ』のレコーディングに入っていた。 そこに、冨士夫に誘われて ブルースハープを持った 延原達治が勇んで現れるのだ。 「俺も若かったからね、 カァー!っていう勢いでさ、 凄い吹き方をしたと思うんだ。 そしたら冨士夫さ >> Read more
2017年11月1日 / 最終更新日 : 2017年11月1日 toshiakikasuya REGULAR 098『THE FOOLS/伊藤耕』MR.FREEDOM ジャガタラのアケミから借りた 真っ赤なギターを抱えて 冨士夫がステージに躍り出た。 真夜中も過ぎ、 明け方近くなった会場は、 にわかにどよめき、 突然に息を吹き返したかのようだ。 ベースのカズ(中嶋一徳)が 冨士夫を振り返って叫ぶ。 「初っぱなはEだから」 冨士夫がうなづくと同時に、 ドラムの佐瀬浩 >> Read more
2017年9月8日 / 最終更新日 : 2017年9月8日 toshiakikasuya REGULAR 093『BO GAMBOS』BO GUMBOS with 山口冨士夫 / I’M A MAN 1990年9月8日金曜、 代々木公園の野外音楽堂で、 『BO GAMBOS』の フリーコンサートが催された。 そのステージに、前話『命の祭り』での冨士夫とは まるで別人になった山口冨士夫が登場する。 もっとも、この前日には 『TEARDROPS』のクラブチッタ公演があり、 緊張の糸がうまいこと繋がっ >> Read more
2017年8月28日 / 最終更新日 : 2017年8月28日 toshiakikasuya REGULAR 092『残暑/1990年大山・命の祭り』 なんだか、蒸し蒸しとモヤモヤして、 ちっとも気が晴れない。 そんな、真夏なのに梅雨のような気分でいたら、 持っていた全てのカードが裏返ってしまった。 「なんか、最悪な気分なんだけど」 冨士夫がいるときは、 そう電話すればよかった。 冨士夫は弱っている人間には、 めっぽう好意的なのだ。 「そんなときの >> Read more
2017年8月10日 / 最終更新日 : 2017年8月15日 toshiakikasuya REGULAR 090『ジニーの『リゾート』/その2』オルゴール その夜は、すこぶる調子が良かった。 さすがに金曜の阿佐ヶ谷は盛況で、 空いてる店を探すのもかったるい。 僕らは、ジニーの歩調に合わせて、 ふっと、目に映った 風通しの良さそうな店を見つけて 飛び込んだのである。 「そのころの私はさ、 まだベースを始めて数カ月だったんだ。 だから、マーちゃん(加部正義 >> Read more
2017年6月4日 / 最終更新日 : 2017年6月4日 toshiakikasuya REGULAR 085『後楽園ホール』/瞬間移動できたら 6月に入った。 1年の半分が過ぎようとしている。 気候も良いし、風も爽やかなので、 なんか良い気分なのだ。 これで、何か面白い考えでも湧いてくればサイコーなのだが……。 そんな想いで庭を眺めると、 春の息吹きで草木が大きく伸びをしているのが解る。 もうすぐ梅雨になるのだ。 むせ返るような夏が来る前に >> Read more
2017年5月17日 / 最終更新日 : 2017年5月17日 toshiakikasuya REGULAR 083『バウスシアター』/ヒッチハイク from 『TEARDROPS LIVE 1990 ‘ BAUS THEATER’ – Vintage Vault Vol.2』 吉祥寺の北口、 サンロードをますぐ行ったドン付きに バウスシアターはあった。 そこで、1990年の6月/1、2日、 TEARDROPSのアルバム 「MIXIN’ LOVE」発売記念の ライヴを2DAYS で行ったのだ。 渋谷ラママのブッキングで お世話になっていた 大森さんのプランである >> Read more