2019年8月20日 / 最終更新日 : 2019年8月20日 toshiakikasuya REGULAR 143『お盆の七回忌』 家を出る時は曇り空だったので、 傘を持って出たくなかった。 「途中で降られるよ、台風なんだからさ」 と家の人に言われたのだが、 なんだか“うるせぇや!”と思って、 バタン!っと、外に出たのだ。 別に怒っているわけではない。 面倒だったのである。 いや、興奮していたのかも知れない。 ステージに上がるわ >> Read more
2019年8月10日 / 最終更新日 : 2019年8月10日 toshiakikasuya REGULAR 142『誕生日/古希祝い』 今日は冨士夫の誕生日である。 生きていれば70歳だから、 古希祝いという事になるのだ。 そもそも古希とは 長寿を祝う風習で、 中国から伝わってきているのだとか。 それは1,000年以上も前、 唐の時代が発祥の 風習だといういから、 そりゃあ、えらく古いもんなのだ。 色でいうなら『紫』。 還暦が赤なら >> Read more
2019年8月7日 / 最終更新日 : 2019年8月7日 toshiakikasuya REGULAR 141『クレイジーサマーナイト』 真夏の夜の動物園/ダイナマイツ ほんとうに暑い。 クソ暑くて死にそうである。 中央線の乗客もみんな、 へたりきった犬のような 表情をしているではないか。 なんちゃって、そう見えるのだ。 そう想いながら つり革に揺られていると、 夕暮れの高円寺駅に着いた。 南口を出て、 “この道はいつか来た道” なぁんて気分で、 かつてスタジオがあ >> Read more
2019年7月29日 / 最終更新日 : 2019年7月29日 toshiakikasuya REGULAR 140『テネシーワルツ』 ガンさん/ 村上元一氏・通夜 まるで夢でもみているかのように、 昔を思い出すことがある。 あの頃の僕は、 どこかふぬけていて、 焦点が定まらないまま 生きていた気がする。 公園の淵にある ベンチに腰掛けながら、 日が暮れかかった 池の景色を眺めていた。 ぼおっと水面に映る灯りが、 遠い光から揺れ始める。 すると忘れていた 何かが >> Read more
2019年7月11日 / 最終更新日 : 2019年7月11日 toshiakikasuya REGULAR 139『山口冨士夫を偲ぶ6年目の夏』 夏が来る前には、 必ず梅雨のトンネルを通る。 見上げると、 雨に濡れた緑葉の傘が重なって、 まばゆいはずの夏の景色を おおい隠しているかのようだ。 そんな小雨降る公園脇の坂道を、 自転車でゆっくりと 下っているときだった。 いきなり曲のセットリストが ラインで飛んで来たのだ。 “お久しぶり、吉田です >> Read more
2019年6月16日 / 最終更新日 : 2019年6月16日 toshiakikasuya REGULAR 138『人生の不思議な糸』もうひとつの村八分5/村瀬シゲト ´73年5月の『村八分ライブ』の後、 8月の終わりをもってバンドは解散した。 メンバーそれぞれに ギャランティーが渡され、 冨士夫以外の全員は 嬉々として渡米したのであるが、 まあ、そこら辺の海外話は またそのうちに。 ………………………………………… 「『村八分』が終わってどうしようか?っていう時 >> Read more
2019年5月24日 / 最終更新日 : 2019年5月24日 toshiakikasuya REGULAR 137『三田祭』もうひとつの村八分4/村瀬シゲト “ガシャン!” というガラス瓶の割れる音と共に 投げ込まれた火炎瓶が爆発した。 どこのセクトかも解らぬ過激派が、 散発的な主張を続けていたのである。 間抜けなのは、 そこらの日常的な火炎瓶など “へ”とも思わない学生たちが、 燃え盛る炎に向かって いっせいに集まって来て 暖まっていることだった。 そ >> Read more
2019年5月9日 / 最終更新日 : 2019年5月9日 toshiakikasuya REGULAR 136『チャー坊とテッちゃん』もうひとつの村八分3/村瀬シゲト 『村八分』は、 “メンバーにスキルがあるとか、 何かのエキスパートだとか、 そういう何もかもを 要求しないバンドだった” という。 「その代わり、“オモロい奴だ” とかいうのが必要になってくるんや(笑)。それと、チャー坊が唯一シゲトくんだけには弱いバンドだったな」 そう言って、 よっちゃん(加藤義明 >> Read more
2019年4月21日 / 最終更新日 : 2019年4月21日 toshiakikasuya REGULAR 135『村八分にはいる』もうひとつの村八分2/村瀬シゲト 1970年の日本は高景気に沸いていた。 良い社会を創ろうと、 前向きにスクラムを組んだ 革命運動時代はあえなく頓挫し、 高度経済成長によって “みんなが中産階級なんだよ” というマヤカしに、 国民全体が流されて行く。 不条理な日米安保への抵抗も ついにかなわなかった。 学生運動の終焉からの 内ゲバを >> Read more
2019年4月10日 / 最終更新日 : 2019年4月10日 toshiakikasuya REGULAR 134『チャー坊と出会った日 』もうひとつの村八分1/村瀬シゲト 「サンフランシスコに 日本町ってのがあるんだけど、 ある日、そこのスーパーに行ったらさ、 シャーロックホームズが 着ているようなマントを着込んで、 尺八を持っている ヘンな奴がいるんだよ。 しかも裸足なんだ。 それだけで、すごいだろ!?(笑)。 そいつがコッチ向いて、 “ニター”って笑うわけだ。 そ >> Read more
2019年4月2日 / 最終更新日 : 2019年4月2日 toshiakikasuya REGULAR 133『桜/4年目の春』 春になった。 桜が咲き誇り、暖かい風が流れ、 肌寒い季節とはオサラバするのだ。 “プシュッ!”っと、 缶ビールの栓を開け、 ゴクゴクと喉の奥に流し込む。 とたんに思い出すのは、 まだ未来が見えていなかった とお〜い昔の北鎌倉の頃、 裏山から流れるように落ちて来る 桜吹雪の風景なのだ。 ヒラヒラと舞い >> Read more
2019年2月28日 / 最終更新日 : 2019年2月28日 toshiakikasuya REGULAR 132『チャー坊/『夢うつつ』25年目の行く春・後編』 もと『村八分』のメンバーの方から、 メールをいただいた。 チャー坊の追悼イベントを 行なうのだという。 その彼に、 改めて当時のエピソードを 訊いてみたのだ。 遠い日の出来事は、 いつの時も遥か夢の向こうに あるみたいだ。 ぽつりぽつりと思い出す情景は、 果たしてほんとうの事だったのだろうか? 夢う >> Read more
2019年1月19日 / 最終更新日 : 2019年1月19日 toshiakikasuya REGULAR 130『新年の(遅い)ご挨拶』 真夜中、母親に起こされた。 「足が痛い」と言うのである。 おかしな話だ、 感覚のない左足のほうが痛いのだ。 母親は脳梗塞で左半身が麻痺している。 母親の介護を始めて、 もうすぐ10年近くになるのだが、 真夜中に飛び起きて思いやる、 この手のヘルプはつらい。 布団をめくり、母親の左足に 薬をつけながら >> Read more
2018年12月24日 / 最終更新日 : 2018年12月24日 toshiakikasuya REGULAR 129『青ちゃんの命日から高円寺を眺める』クリスマスイブ 話は、いきなり江戸時代に遡る。 当時の将軍、徳川の家光さんが、 鷹狩りをして遊んでいるところに 突然の雨が降り出した。 「此処で少し雨宿りしていこうか」 って、立ち寄ったのが 高円寺というお寺だったのだとか。 その寺がお気に召した家光さんは、 のちの鷹狩りの度に 高円寺を訪れるようになる。 すると、 >> Read more
2018年12月5日 / 最終更新日 : 2018年12月5日 toshiakikasuya REGULAR 128『しつこく・その3 /大阪“BAMBOO”』“LIVE AT SUM” 冨士夫が我が家に居るころ、 しょっちゅう『村八分』の話をしていた。 極限まで贅肉を削ぎ落として 創っていったという音楽性や、 LSD修行(?)のような ドラッグ浸けの日々。 民族主義のフィールドで育った チャー坊の日本感と、 自らの生い立ちを意識した 冨士夫の中に宿る日本が 想像の中で重なっていく。 >> Read more
2018年11月26日 / 最終更新日 : 2018年11月26日 toshiakikasuya REGULAR 127『大阪“BAMBOO”その2』“LIVE AT SUM” カキピーがこんなに 美味いとは思ったことはなかった。 小皿に盛ってあるのだが、 ウーロンハイでソレを流し込みながら、 やっとのことで 腹をもたせていたのである。 「冨士夫ちゃんは、いつも誰にも言わずにお忍びで来るねん」 追加のカキピーを袋から出しながら、 高濱(たかはま)さんが笑顔を寄せる。 「冨士 >> Read more
2018年11月15日 / 最終更新日 : 2018年11月15日 toshiakikasuya REGULAR 126『LIVE AT SUM』大阪“BAMBOO(バンブー)”その1 “こだま”は各駅停車である。 それなのに、 「ちょっと、駅に止まっている時間が長過ぎるんですよね」 と、しょーもないことを言う GoodlovinのKoくんと、 新大阪に向かっていた。 新幹線に乗るのは久し振りだ。 シートに座るなり、 大阪までの3時間もの間、 ずっと喋り通しだった かまやつさん(か >> Read more
2018年10月18日 / 最終更新日 : 2018年10月19日 toshiakikasuya 山口冨士夫とよもヤバ話 124『新大久保EARTHDOM 伊藤耕追悼企画 「KEEP ON ROCK&DANCE 耕もね!」』太陽のまばたき ブル-スビンボーズ 大久保通りはエキゾチックである。 韓流系の看板やネオンサインが立ち並び、 少し古い懐かしいタイプの街路灯が、 訪れる人びとの顔を 黄色っぽく照らしているのだ。 もともと靖国通りから北側は、 戦後、台湾人華僑が商いの種を植え、 独特なるアジア花を開かせた 一大歓楽街だといわれている。 四谷・牛込・淀橋 >> Read more
2018年10月8日 / 最終更新日 : 2018年10月18日 toshiakikasuya REGULAR 123『フールズやあの時代を思い出して』 1986年の クロコダイル3daysは、 6月6(金)、8(日)、9(月)に行われた。 7(土)がないのは、 すでに他の誰かに ブッキングされていたからだ。 「ロックな6月の始めに、クロコで3daysをやりたいんですが?」 店長の西さんに連絡した時に、 「土曜はすでに決まっているよ」 と伝えられた憶 >> Read more
2018年9月21日 / 最終更新日 : 2018年9月21日 toshiakikasuya REGULAR 122『石神井公園』空と雲 / 四人囃子&スモーキー・メディスン 季節が変わろうとしている。 ザワザワとした公園の木々から 神社の参道に吹き下ろす風も、 なんだか冷たく感じられるのだ。 その木漏れ日の中を 子供たちが駆け抜けて行く風景。 姿が見えなくなっても、 はしゃぎ声の残響が 辺りに吹き溜まっているかのようだ。 その夕暮れ時の参道から、 城跡のある木立を 抜け >> Read more